ウソ夫婦
「心配じゃない?」
「……何が?」
『何が?」と聞きながら、あすかにはわかってる。離れていると疑心暗鬼になってしまうのだ。
「ジェイはモテるでしょ?」
「そう……ね」
「女がほっとかないのよね」
あすかは俯いた。
「やだ、冗談だってば」
ジェニファーが吹き出した。「アスカはすぐに本気にするんだから〜」
あすかは複雑な気持ちで、ジェニファーを軽く睨んだ。
ジェニファーが冗談を言っていることはわかってるけれど、この数ヶ月間確かに心配で心配でならなかった。図星なのだ。
「ジェイはアスカ一筋よ。私が誘っても、即『NO』って。失礼しちゃうわよね」
ジェニファーが再びしれっとそんなことを言う。
「もうっ、ジェニファー。誘わないでよ!」
「ゴメン」
ジェニファーは笑う。
本当に、どこまでが冗談かわからないんだから。