ウソ夫婦
「でもね……アスカ」
ジェニファーの顔から笑顔が消えた。
「ジェイと久しぶりに会うのよね」
「……うん」
「セックスするでしょ?」
どうしてこう、ジェニファーは直球勝負なんだろう。はじらいとか、そんなものはないんだろうか。
「……まあ、結婚するし……」
あすかは渋々頷いた。
「この間、あの男とランチをしたときにね」
ジェニファーが内緒話をするように、身を乗り出す。あすかもつられてテーブルに肘をついた。
「私に言ったの。『アスカがお子様すぎて困る』って」
「お子様?」
あすかは思わず聞き直した。
「そう。『お子様』」
「何それ」
あすかは、なんだかムカムカしてきた。
自分のいないところで自分の話をされるのも嫌だけど、それが『お子様』だっていう話っていうのも、どうなのよ。
「思うにね」
そう言うと、ジェニファーはじろじろとあすかを観察し始めた。
あすかはいたたまれなくなって、もじもじとする。
「あなた、胸がなさすぎるわ」