ウソ夫婦
あすかの手から、カップが滑り落ちそうになった。
「A? もしくは、マイナスA?」
「ちょっ、何よ、マイナスって!」
あすかは頬を膨らませた。
なんて失礼極まりない!
……でも、当たってるし。
「言っておくけど、ジェイは大きい方が好き」
「……そんなこと、今更言われても」
「そうよね〜」
ジェニファーがうんうんと頷く。
あすかは、ジェニファーの胸を凝視した。
この人、ジェイと寝たのよね……。この胸を……ジェイが……。
あすかの頭が、イケナイ想像をし始める。ジェニファーはにんまり笑って、あすかの焦っている顔を見た。
「まあでも。愛があるから」
ジェニファーがとってつけたように言う。
「そ、そうよね」
あすかは、心ここにあらずで、答える。
「ペチャパイでも、心配なし」
ジェニファーは明るく言うと、コーヒーを飲んだ。