私だけを

頰に手を当てると生暖かいものが流れていた。

それを今初めて自分が涙を流していたことに気がついた。

それをわかった途端私の中で何かが崩れた。

「うっ…あ…」

ヒクッと音を立ててシャックリを鳴らす。

付き合って一週間。こういう事を見て、泣いたことはなかった。

我慢、していたのかもしれない。

私は崩れ落ちた。

その身体を梨々香は支えてくれた。

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