私だけを
「誰に泣かされたの?!」
返事なんてできなかった。
ここは教室の前。声を出して泣いてる私と梨々香の姿は当然、向こうには聞こえてるし、見えてる。
でも、それを分かっていても涙は止められなかった。止まらなかった。
彼に見られたという恥ずかしさも大きかった。
チラッと向こうを見ると私の泣き声に気にせず行為をしていた。
また、悲しくて、虚しくて。
梨々香は私がチラリと送った視線を見逃さなかった。