私だけを

右手を頭の上に、左手を顔の横に押さえつけられた。

何が起こったのか分からなくて、掴まれた左手を見る。

「聞いてんの?答えろよ」

低い声で言われた時ようやく、どんな状況になっているかに気がついた。

「おい、答えろって」

なんで答えていいか分からなかった私は彼の吸い込まれそうな瞳から目を離した。

軽く舌打ちをされて、両手の力をさらにいれられて、痛さに顔を歪める。

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