私だけを

桐谷君は少し目を見開いて、また冷ややかな目で私を見下ろす。

私は唇を噛み締めて声を振り絞る。


「桐谷君、もっ…他の女の子、触って…た」

掴まれた手はまだ熱を帯びてる。

今はよくわからない感情は無くなって、虚しい気持ちでいっぱいになる。

他の子触ったのに、私も同じように扱って。

彼女は私だけなのに、私以外の子といて。

女除けの私を、優しく名前で呼んで、
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