私だけを
そんな事、言わないで


どうして、私だけを見てくれないのに。

どうして、私を見てくれないのに。

彼女なのに。

特別な筈なのに。


「桐谷くんは、私の彼氏…?」

弱々しくて、

自分が何を発しても止められないような気がした。

「そうだけど」

「私以外と、付き合って、ないよねっ…?」

「うん」

なら、どうして、どうして。


ううん、違う。

きっと私が一番聞きたいことは、

きっと。
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