願いを星へ。
だがそんなことで回れ右して帰るわけにはいかなかった。
年に一度だけ架けられる二つの陸を繋ぐ橋が今日架けられるのだから。
「私を甘くみないでよ!!」
泥に足を取られながらも前へ前へと進む。
勢いよく足を踏み出したその時ぐらりと視界が傾く。
「きゃっ!!」
バランスを崩し何かにつかもうとするものの掴んだものは何もない。
霧が濃くて見えなかったがすぐ横は崖と言うことに今気づいた。
そのまま落ちていく感覚と激しい痛み。
(ここまで来たのに……彼に……彼に…会えないの?ーなんで?)
そう思うと涙が溢れでてくる。
頬を伝って静かに落ちていく。
痛みの涙よりも会えない悲しみがどんどんと大きくなっていく。