願いを星へ。



手を伸ばしても何も掴めない。


このまま誰にも見つけられずに動けないまま―。


恐怖と不安が押し寄せて来たその時。


辺りが急に輝きはじめる。


「姫っ!!」


ふわっと何かが体を支えた。

少しすると強く強く抱きしめられていた。

懐かしいにおいが心を癒す。


「何やってるんですか!こんな所で!こんな怪我までして!」


久しぶりに聞いた声が胸をくすぐる。


「だって……あなたに会いたくてっ……」

「会いに行くに決まってるでしょう!たとえどんな壁が立ち塞ごうが僕は絶対に会いに行く!!」

「彦星様……」


崖下へと着くとゆっくりと降ろされる。

いつの間にか濃かった霧は消え、辺り一面に100年に一度しか咲かない《星美草》が織姫達を包んでいた。


「姫が流した涙が僕達を会わしたんですよ」

「えっ……?」

「姫の涙には星美草を咲かせる力があるんですから。その涙は…」


彦星はそこまで言うと、ふっと優しく微笑みキスを落とした。


「これからもずっと…ずっと一緒ですよ」

「はいっ!!彦星様!」


離れていても心は一つ。

星達はそれを知っている。




ー今あなたが一番会いたい人は誰ですか?

心にそっと思い浮かべて下さい。

きっと、その人もあなたのことを思っていますよ。





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