死にたがりヒーロー
だから、元気に「大丈夫だよ、いってきます」っていつもみたいに笑うことが今、私にできることだと思った。
今日くらい我慢できるって、そう思っていた。
だけど……。
「ねえ、小鳥遊さん? 聞いてるの?」
「無視してるの? 小鳥遊さんの分際で? ははっ、うける」
調子に乗らないでよ、と誰かが机の脚を蹴った。
ガンッと大きな音に、私の体はびくりと震える。
無理だ。
こわい、こわいよ、伊都……!
「やだ、マミこわすぎ〜」
……マミちゃん?
ああ、そういえばこの子、入学したての頃、違うクラスだったにも関わらず話しかけてくれた気がする。
あの頃はもっと可愛らしい笑顔だったはずなのに。
「はあ〜? ユズに言われたくないんですけど」
ユズちゃん、は……ああ、そうだ。
たしか、去年、一年生のとき同じクラスだった。
話すことはあんまりなかったけれど、こんな風に睨まれたことなんてなかったはず。
他にもあと二人いるみたいだけれど、もうわからなかった。