死にたがりヒーロー


「……ねえ」


ああ、女の子らしい声。
……良くも、悪くも。

瞬間、前髪を強く掴まれ、無理やり顔を上げさせられた。


「……やっ」

「や、じゃねーよ。 人とお話するときくらい、目、合わせましょーね? 小鳥遊さん?」

「……あ、」


いやなもんは、いやなの。

日本語わからないの?


「ははっ、口ぱくぱくさせてるだけじゃわかんねーっての! 気持ち悪い」


気持ち悪いのはどっち?

その汚い笑い方、絶対に鏡を見てきたほうがいい。


「ねー、この髪色さー、調子乗ってるよね。明るすぎ。 早く染め直せっての」


これは生まれつきだから。

あんたたちこそ調子乗って染めてるんじゃないの。


「あー、うざ、なんかしゃべれよ」


……なんて、ああ。


「……ゆる、して。ごめなさ……っ、」


あの頃の私なら、言えたのかな。

強気な目で、口調で、態度で。


うざいのはあんたたちでしょって、自分で自分を、守れたのかな。



ねえ、お母さん、お父さん。

アナタたちは今のこんな私を見たら、なにを思って、なんて私に声をかけるんだろうね。

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