死にたがりヒーロー


伊都の笑顔は、優しくてあたたかくて。


『そう、かな……っ?』

『うん! きっと!』


私は何度、その笑顔に助けられたことだろう。

そして、伊都は何度、その笑顔で私を救ってくれたことだろう。


『あっ。 それに、僕のお母さんも古都ちゃんのお母さんのこと心配してたんだ! 今度ゆっくりお話したいって!』

『ほんと……? 伊都くんのお母さんとお話したら、お母さんも元気になってくれるかなあ』

『うん! 僕のお母さんたちすごく仲良しだもん! 大丈夫だよ!』

『そっか、そうだよね……! ありがとう、伊都くん‼』


希望を持っていた。 明るい未来は取り戻せるんだって。

強く、強く、信じていた。


伊都のおかげで、私は笑顔を失わないでいられたんだ。


だけど、幼い私たちの希望は、そう経たないうちに打ち崩されることになる。

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