死にたがりヒーロー
ついに精神的に限界を超えてしまった母は、家に火をつけ、私を巻き込んでの自殺をはかったのだ。
もうだめだ……。 そう思った私を助けてくれたのは、予想もしていなかった人たち。
伊都のお母さんとお父さんだった。
『古都ちゃん……‼』
炎が激しく燃え上がるなか、事情を知らない二人は“私たち”を助けにきてくれだ。
けれど母は……。
『やめて、来ないで‼ 私は古都と一緒にいなくなるのよ、邪魔しないで! もうひとりにはなりたくないの……‼』
自分自身が助かることはもちろん、私の命を救うつもりもなかった。
暴れ、泣き叫ぶ母。 もはや誰の手に負えなかった。
私でさえ、自分の母の姿が信じられなくて、ただただ震えていた。
それでも、伊都のお母さんとお父さんは、母を助けようとすることを諦めなかった。
『早く先に逃げなさい! おばさんに外まで連れて行ってもらうんだ‼』
『で、でも……』