死にたがりヒーロー
ねえ、伊都。
私が『死にたい』と泣き叫んだあの日、きみは私に言ってくれたね。
『死にたいなんて言うな』なんて、この世界にありふれた綺麗事なんかじゃなくて。
『古都が死ぬなら、俺も死ぬけど』
バカだと思った。
驚きすぎて涙だって引っ込んだ。
なんで、伊都が死ぬんだ。
なんで、伊都が死ななきゃならないんだ。
きみは、生きなきゃいけないよ。
私こそが死ぬべき人間なんだよ。
ごめんね、ごめんね、伊都。
やっぱり私は、死にたいよ。
そうしたらヘンテコなきみは、また意味のわからないことを唐突に言うんだ。
『そばにいて。 俺が生きる意味になって』
どうしてそんなことを言うの。
私が、きみの生きる意味なんかになれるわけがない。
だって私は、きみの命を生み出したきみの大切な人たちを奪った。