死にたがりヒーロー
……まあ、私は、なにも見ていないに一票だけど、実際のところはどうなんだろう。
「まあ、そういう時もあるよなあ」
彼は、私を見ようともせず、ぼうっといつもの無表情で、空気の抜けたような返事をした。
いやいや、全然答えになってないって。 てきとうすぎか。
そう思いつつも、彼がこうなのはいつものことだから、私もあえてそれを言葉にしたりしない。
「ふーん……きょうも伊都は変だね」
「おー、きょうも俺は変だー」
幼なじみの伊都は、ちょっと……いや、だいぶ変だ。
「わー、変人だー」
「変人だなー」
「へーんたーいだー」
「変態だなー」
「え、そこは否定してよ」
「そここそ否定しないよ」
「……引いた」
本当に自覚してるのかしてないのかはわからないけど、変だ。