死にたがりヒーロー
常にぼうっとしていて何を考えているのかよくわからないし、話しかけられてもてきとうすぎる返事しかしない。
よく靴下が左右違っていたり、学校に行くのに教科書なんかが全部入った鞄を忘れそうになったり、
テストでは仕組まれたみたいになぜか毎回赤点をギリギリ回避したりする(それはもう見事なほどにすべてギリギリなのだ)。
そして何よりも変だと思うのが、彼は口ぐせのように、毎日毎日ーー“死にたい”と言うこと。
「なー、古都」
「んー?」
「死んだらどんな気分なんだろうなー」
本当にこの幼なじみは……柵があるとはいえ、屋上から脚を放り投げた状態でなんて物騒なことを言うんだろう。
長い脚が、ふらりふらりと宙を舞っている。
「知らないよ、私死んだことないもん」
「ああ、そっか」
「そうだよ」