死にたがりヒーロー


もうこれまでに、何度もしたことがある会話。


初めて彼にこんなことを尋ねられたのはいつだっけ。

そのときは、すごく驚いたような気がする。


だけど、今では驚くどころか、こうやってさらりとかわすことだってできる。 慣れってこわいものだ。

……ああ、ほらね。
私の幼なじみは本当に変だ。


そんなことを思いながら、“どこか”をぼうっと見つめる彼の横顔を、私もなんとなく見つめる。

彼が“どこか”を見つめるのと同じように、ぼうっと。


とろんと垂れた二重や、薄く形のいい唇、すらっとしたモデルばりに長い手足、さらさらの黒髪。


……もったいない。

幼なじみの私でさえ見惚れるほど、彼にはモテる要素がギュッと凝縮されているのに。


宝の持ち腐れとはきっとこのこと。

こんなに恵まれた容姿なのに、彼女とか、できたことないもんね。


「あ」

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