死にたがりヒーロー
端整な横顔がくるりとこっちを向いて、“どこか”ではなく、しっかりと“私”を捕らえた。
近づいた真っ黒な瞳に、目をまんまるくさせた間抜けな私が映る。
「古都」
「な、なに」
「きょうの晩ごはん、なんだったっけ?」
……本当、変人だ。
このタイミングで、この体制で、この距離で。
いきなり言うことがそれって、いったいどういう頭のつくりをしてるんだ。
「……ハンバーグって言ってたと思うけど」
ハンバーグは私の大好物。 特に、ウチのハンバーグなんて格別だ。
お箸を刺すとじゅわあっと広がる肉汁と特性のデミグラスソースがかかったそれは、レストランなんかで売っているのより断然おいしい。
「へえ、……じゃあ、古都、今からでも授業戻ったほうがいいんじゃね?」
「へ、なんで。 やだよ、めんどくさい……」
「だって、授業さぼってんのバレたら晩ごはんお預けかもよ。 ほら、前にバレたとき、散々怒られた挙句、晩ごはんなしって言われただろ」
「……あ」