目には目を、歯には歯を
前夜
ジャックをその部屋から連れ出したのは、最初に署に連れてきた若い警官だった。
どうやら、彼がジャックの担当のようだ。

「今日は、ここにある拘置所に泊まって貰います。こちらへ」

その若い警官に促されて、ジャックは部屋を出た。
普通に警察署の中を歩く。
手錠も何もされないし、他に護衛がつくこともない。

――一体なんなんだ? この国は?

ジャックは、かなり勝手が違うことに戸惑いながら大人しく若い警官に従って歩いた。

死刑はない。

その言葉に安堵を覚えていたから、従順な態度を取ることにしたのだ。

案内された部屋は、拘置所…というには、立派すぎた。
警官たちの仮眠室に近い作りだ。

ジャックの考えは当たっていて、
「この隣が、我々の仮眠室になってます。まぁ、作りは同じなので」
と、若い警官が言った。

「何かあったら、隣にいるので呼んで下さい。
では明日の朝六時に起こしに来ますから」

そう言って、彼は去って行こうとした。



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