目には目を、歯には歯を
その夜、ジャックは満足に眠れなかった。

拘置所には、実は何度か入ったことがある。
女性をめぐるトラブルの末のケンカや、酒の上での口論の末…などが主だった。
だが、満足に横になる場所もなく、大勢の酔っぱらいなどといっしょくたに詰め込まれるのが大概だ。

こんな、キチンとした設備とは、ね。

ごろんと横になったものの、明日への不安が胸につきまとう。

――弁護士もいない。

――裁判もしない。

――実際に、俺が犯人かどうかきちんとした取り調べすらしない。

――それで、勝手に俺を犯人と決めつけて、一体何をしようというのだ?

ジャックは、まんじりともせずに、夜を明かすこととなった。
< 25 / 77 >

この作品をシェア

pagetop