目には目を、歯には歯を

薄膜を通して見ている光景は、すりむいた膝を見ていた。
むきだしの膝から、血が流れている。

――むきだしの膝？

一瞬見えただけだったが、それはキレイに手入れされた、女性の脚に見えた。

自分の膝を見ている筈なのに、それが女性の脚に見えるとは一体…？

ジャックは頭の一方でそういった疑問について考えていたが、さらにもう一方では、心臓が破裂しそうなくらい、恐怖に怯えていた。

ジャックには感じたことのない種類の恐怖。

さらに、髪をひっぱられ、泣きながら後ろを振り向く。

髪を掴んでいる人物の顔が、見えた。

歪んだ笑いを浮かべ、楽しそうにこちらを見る、顔。

ジャックの意識の片方は、恐怖におののきながらその顔を凝視する。

もう一方の意識は、息が止まりそうな驚愕に襲われていた。


そこに見えた顔は――