目には目を、歯には歯を
「例えばですね、事故に遭った方が、足を一本失ったとしましょう。
 事故を起こしたのが同じくらいの年齢の方だったならば、おそらく刑としては、事故を起こした方も、同じ足を切断することになるでしょうね」

「な、何だって……!?」

ジャックは思わず腰を浮かせた。

「そんな、そんな莫迦な事があるかっ! そんな無茶苦茶な…」

「無茶苦茶? 至極当然の事だと思いますけどね?」

フェルナンデスは、静かに答える。
その表情には、何が疑問なのか本当に判らない、といった表情がうかがえる。

「もちろん、事故に遭われた方がとても高齢な方で、運転していた方がものすごく若かった場合、このような執行をしてしまっては、とても公平とはいえません。ですが、高齢の身で足を失うのも想像以上に大変でしょう。その場合には、その方の身の回りの世話をするようにするか、相応の金銭を払うか…まぁ、あなたのいらっしゃった国、イギリスと同じような刑が下されるでしょうね。」

……俺の出身国も調べてあるわけだ。
この国に入る時に使った偽名では、出身国はカナダにしてあったのにな。

ジャックは、この国の情報網を見くびっていたらしい。

「もう一つ、被害者の方が望むので有れば、そのような刑ではなく、あなたが受けたのと同じような刑罰を受けることになりますね」

フェルナンデスはいったん口をつぐみ、おもむろに言った。

「加害者の方は、この施設に来て頂きます。
…そして、被害者の方の痛みと恐怖をそのまま味わって頂くのです」


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