目には目を、歯には歯を
だが、フェルナンデスはすぐに瞳を閉じると、深く深呼吸をし、自らを抑えた。

次に目を開けた時には、その瞳には何の感情も見られなかった。

柔和な笑みを浮かべ、フェルナンデスは続ける。

「今晩、あなたが安らかに眠ることが出来れば、明日にはあなたはここから大手を振って出ていけますよ」

その言葉に、ジャックは首を傾げる。

「安らかに眠れる、とはどういう事だ?」

「……昨晩のような事が、あなたの身に起こらなければ、です」

「……もう一度、ダイアナになれって事か?」

挑戦的にジャックが言い放つと、フェルナンデスは首を横に振った。

「彼女への贖罪は、昨晩で済みました。もし、あなたが他にも罪を犯していなければ、今夜はぐっすり眠れるでしょう」

「……どういう、意味だ……。ハッキリ言ったらどうだっ!」

ジャックが掴みかからんばかりの勢いで言うと、フェルナンデスはため息をついた。

「では、個人的な意見を言わせて頂ければ、おそらくあなたはあと3日、ここにいることになるでしょうね」

そう言って、ポケットから新聞の切り抜きを取り出す。

そこには、この国で行方不明になった、三人の女性の記事がのっていた。

「私は、三人ともあなたが手にかけたと確信していますから。おそらく、あなたは3人分の裁きを受けることになるだろうと考えていますからね」

記事に目をおとしたまま、フェルナンデスはそう言った。


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