目には目を、歯には歯を
「……我が国で裁かれた人は、自国に戻っても、その国で再度裁かれることはありません。、
あなたは、イギリスに戻っても、もう殺人罪で裁かれることはないでしょう。

……ただし………」

フェルナンデスは、そこまで言うと、言うのをためらうかのように、一度口をつぐむと、かなり長い間沈黙した。

深く息を吐き、ようやく次の言葉を紡ぐ。

「一度裁きが始まると、終わりません…」

意味が、判らない。

終わらない?

「どういう意味だよ?」

さっきから、謎めいた言い方をするやつだ。

ジャックはだんだんイライラしてきた。

「犯した罪の分だけ、裁きを受けて頂きます。

この国で犯した罪だけでなく、あなたが生きてきた人生の中での、全ての罪を」

ジャックは、自らの身体から血の気が引く音が聞こえた気がした。

……まさか、そんな……





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