目には目を、歯には歯を
――これが、俺か……? 俺は、この女の目には、こんな風にうつっていたのか……?

鏡にうつる自分と、キャサリンの目にうつる自分のあまりの違いに、ジャックは混乱した。

他人の目にうつる自分。

それも、恐怖の対象としての自分。

嫌悪感を感じる程、その顔は醜かった。

―――アアアア………イタイ………

キャサリンは、遂にまともな思考をとりもどすことなく、意識を失っていった。

だが、その方が良かったのかもしれない。

最後に、自分の首をゆっくりと切り裂かれる感触を感じなくてすんだのだから。

キャサリンの中にいるジャックは、その痛みと、感触を、全て感じ取っていたのだから。




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