アイ
「重田、ごめ・・・ん」
「なにが?」
なにがって・・・
「授業・・・」
「はー?別に、俺ー頭良いし」
・・・。
「そっか。」
「あー、絶対今嘘だと思っただろ!」
思うでしょ。
っていうか、何気に保健室で2人・・・っていうね。
妙に緊張してる・・・いや、していた。
なんか、つまらない話を重田がしてくれるおかげで、変な緊張はほぐれているから。
あと、アレだよ。
好きって意識したからーみたいな。
いや、でもないわ。うん。
「ってか、言いたくないんならマジで言わなくていいよ。弟のこと」
「あ・・・」
「いや、本当にさ・・・言ってほしくてこーいうの言ってるんじゃなくてさ、まじで」
「ごめん・・・」
「いや、いいって」
・・・本当に悪いよ。
こんな優しいことまでしてくれているのに、私は言えないもの。
言ったら・・・あのリアルな過去が脳内で・・・再生される。
今も・・・さっきも・・・きっと、これからも。
優を助けれたのに、見ていたのは私。
家族であり、血がつながっている私なんだ。
「この、『いまがしあわせです。』ってなんかコイツ・・・あれだな」
「え?」
「いまが・・・って事はさ、いまじゃないときは・・・」
あっ。
本当だ。
この文章は 今 しか 幸せではないっということになる。
優は、頭の悪い子じゃないからそんな失敗はしないはず。
「・・・どういうことだろ・・・」
優の身に何があったの?
もしかして、あれは本当に事故じゃないの?
そういう・・・
ガラッ
「美織!」
「あ、愛?」
「良かったー・・・大丈夫そうだね」
まぁ、腹痛なんて嘘だし・・・ね。
「うん」
「重田は、もういいよ!」
「・・・あ、うん」
重田は・・・行っちゃうのかな?
「じゃあ・・・あ、ちょい携帯出して」
「え?」
私は、言われた通りポケットから携帯を出す。
ピローン
・・・え?
「これで、多分、俺の連絡先入ったから」
「あ・・・ありがとっ」
・・・重田、ありがとう。
大好き・・・です。
私はその横で、愛ちゃんが睨んでいるのを全く知らなかった。
それに気づくのは、きっとまだまだ先・・・。