アイ
6月
月曜日、学校に行くと教室は仲良いグループでヒソヒソと喋っていた。
重田は・・・実は、朝からずっと私とラインをしている。
ミオ:ただいま到着デス。
重田:了解。
お互いに携帯の画面を暗くして何事もなかったようにする。
「重田、おはよー」
「おー」
ね?
「あ、美織!あのさ・・・田村健二って愛の弟?」
「桜ちゃん!おはよ!・・・うん、弟」
「じゃあじゃあ、今日・・・愛ちゃん来ないのかなぁ?」
「ごめん、柚ちゃん。そこまではわかんないや」
「「ふーん」」
・・・やばい。
愛が早く来ないと、一番一緒に行動していた私がなんでも聞かれる。
きっと、心なしか笑ってしまう。
でも、愛は来るのかな?
「おはよー・・・みんな」
「愛っ!おはよ!!!」
私は真っ先に愛の元へ走る。
そして、言う。
「ちょっと、いいかな?」
愛は、うなずき自分の席に鞄を置いてから屋上へと2人で向かった。
「弟さん・・・死んだの?」
私が聞くと、愛はニコッと笑った。
・・・え?
「うん!言われた通りにね!まぁ、愛もアイツ嫌いだったし、実は養子で血が繋がってないんだよねー。だから、いいのいいの」
さっきの愛は・・・どこへ?
「学校ではしばらく元気にいちゃおかしいから普通にいるよー時々、ラインしてもいい?」
「もちろんっ」
私は、愛が人を殺した という恐怖心を抱きながらも少し、可愛く見えた。
だって、自分の殺してほしい人を殺してくれたから。
「証拠・・・。どうするの?バレるんじゃ」
「ないない!バレないよ!あれは、愛の家の木に糸、その糸が綺麗に切断できるようにしかけておいて、あいつはその罠にまんまとハマったの。」
つまり、愛の家の木に糸、切れる糸を用意してそれをいろいろな木で巻いてそこを健二が通ったら切れる・・・というシステム。
「あいつにさ『こっちおいで!面白いものがある』って言ったらまんまと・・・ぷぷ。」
・・・笑えなくなってきた。
「それで、最初足と・・・手が切れてめっちゃ血が飛んだの。私は運よくかからなくてさ。あいつがダルマさんみたいでさー!『テメェ・・・俺・・・を殺す気かよ・・・実のおと・・・うとだぞ?』って言ってさ!ダルマみたいなやつが!」
愛はだんだん声が大きくなってきている。興奮・・・というやつ。
「愛が言ったの。『あんたは、養子だよ。よ・う・し』って。そしたら、泣きながらしんじゃった!」
愛・・・あなたは・・・。