アイ

愛ちゃんが、私の恋人・重田を殺すと言い出して1週間がたった。
夏休みが近くなり、みんな楽しそうだ。
桜ちゃんと柚ちゃんは2人で海に行ったり、外泊するそうだ。
蒼井ちゃんや、森田、山中、高林は、意外に仲が良く、4人でプールに行くと喋っている。

・・・重田は生きている。
けど、いつ殺されるの?どんな死に方をするの?

ヤダ。
死んでほしくないよ・・・。

「なんか、暗くない?・・・美織」

「桜ちゃん・・・」

「どしたの?相談、のろうか?」

愛ちゃんは頭が良い。
だから、私にも何も言わなくても私は愛ちゃんのことを言わないってわかってるんだ。

だから、桜ちゃんが心配してくれているのに私は言えない。

「ううん、ちょっと・・・生理で、お腹が痛いだけだよ」

生理はこの前、終わったばっかだから、もちろん元気。体は・・・。
心がつらいだけ。

「生理の時って、ナプキンどれ使う?」

「え?」

「ごめんねー、柚、ズレてるとこあるんだよねー。でも、素 だから!かわいいでしょ?」

「あ・・・うん」

「ズレてるってヒドくない?」


2人は会話を楽しむ、けど私は?
楽しめるわけないじゃん。

「ごめん、親に電話してくる。今日、早退する」

「えっ!?そんなヒドイの?」

「あはは・・・まぁ?」

ヒドくない。
ただ、泣きたいし、重田と喋りたい。
家で重田とラインをしよう・・・。

「重田ー、愛しの美織が帰るってさ」

蒼井ちゃん・・・!やめてよ!恥ずかしい!

「え?・・・どしたの?美織」

「ふ、腹痛!ごめんね!」

私は隣を通るふりをしてボソッと呟く。

ガンッ
この同時に。

「家、帰ったらラインするね」

たった、これだけ。
重田は・・・聞こえてる。
笑って、携帯を持ち私に手を振る。

こんな幸せが続けばいいのに・・・。
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