アイ
「ひゃっほー!」
スライダーに乗りはじける桜ちゃんの後ろで、どきどきしながら自分の番を待つ柚ちゃん。
私は、桜ちゃんの前だったから滑る様子を下から見る。
「気持ちい~!焼ける!けど、気にしない!」
桜ちゃんは完全に遊んでいる。
「もう1回いっちゃう?」
「いくーー!!!」
「二人とも!待ってよ!柚、まだだからねっ!」
上から声がする。
・・・にしても、
柚ちゃんも桜ちゃんも・・・ビキニ。
爪もネイルを塗っていてかわいい。
わたしは・・・うん、言わないでおこう。
「きゃあああああああ!」
柚ちゃん、叫びすぎ!
「あれ?偶然!美織たちも来てたんだ~」
・・・え?
「あ、田村じゃん!一人?」
「うん。一人~入れて入れて」
・・・え、ヤダ・・・。
「いいよ~」
そんな私の心の声は届かない。
愛ちゃんが、重田を殺した・・・なんて。
「ってか、田村の水着かわいいー」
「え?桜のほうがかわいいじゃん!まぁ、愛は、イギリスの国旗が好きなんだけどね」
・・・かわいいよ?
けど、腹の中は、底が見えない真っ黒な世界だよ。
「愛も滑ってきていいかな?スライダー」
「おっけ!みんなでいこ!」
「やば、疲れた。」
桜ちゃんのマジの疲れ。
顔がもうゲッソリ・・・。
「じゃあ、ばいばい!」
「え?田村、準備早いな!」
「ふふ。そうでしょ?また、 会えたらいいね 」
なんか、嫌な予感がする。
あたりかな?ハズレかな。
ハズレていてほしい。