アイ
〈桜 side〉
殺しに来た?
・・・嘘でしょ。
田村の服装は、髪の毛をツインテールに縛り、パステルカラーの色の服にショートパンツ。
さらに、かわいい``赤色``の靴。
声が出ない。
手足が震える。
・・・どうやって、声を出すの?
「美織、さすがだね。わかっちゃったんだ!」
「うん。愛ちゃんはきっとまだ私の友達を殺すって思ったの」
「ふふ、さすがだね。私のお嫁さん。けど、美織。美織には無理。」
・・・ダメ、何も考えられない。
柚も混乱している。
冷静なのは、美織と田村の二人。
私と柚はきっと状況も把握できていない。
「無理って何が?今、止めてるけど止めれてないってこと?」
「うーん。まぁ、止めてるね。けど、死ぬのが早くなるか遅くなるか・・・って問題。死ぬのに、変わりはないの」
・・・ヒールのコツコツとした音が近づいてくる。
ヤダ。死にたくな・・・
「殺したいの。」
かわいい口紅を塗られた口から・・・想像もできない言葉。
「・・・やだ。」
やっとの思いで声を発する。
「どうして?」
「・・・い、生きたいからっ」
「どうして?」
「み、みんなと笑って楽しみ・・・」
次の瞬間、私は息を止める。
美織も口が開いて呆然とする。
私も美織も無傷。
・・・柚が、
刺された。
『通り魔』という名の・・・きっと田村の力。
「うっ・・・痛い・・・痛いよ・・・」
4本のナイフが柚の背中に刺さっている。
血が滲み、服の色が赤色になっている。
私も美織も状況を把握できていない。・・・柚も。
私の親友を・・・。
「そう、それそれ。愛がほしかったのはその怒りだよ」