アイ

愛ちゃんと蒼井ちゃんの口喧嘩に勝負がついたのは、先生がやってきたからだった。
その後も、ラインで口喧嘩はしていた・・・と千佳ちゃんは言っていた。

「1時間目は自習、道具、持ってきてるわよね。・・・個人的に面談したい人も呼ぶからね・・・あ、気を楽にしてね」

先生の、あせったような態度を見て私は思う。
・・・呼ばれる。

1時間目と朝礼の間には、10分間という間がある。
わずか、3分で終わった朝礼。
残りの7分は、また今朝と同じように・・・グループに集まっていた。

決して、仲の悪いクラスではない。
けれど、仲良い子としかお互いに喋らない。
そういうものなのか。
違う・・・ダメだ。
これじゃあ・・・好き放題いわれる。
だからって、どうやってとめるの?
実際はかかわっている私が?

「美織、喋ろ!」

語尾を上げて喋りかけてきたのは千佳ちゃん。
手で「コイコイ」している。
私は、その優しさに『また』甘えてしまった。

「う、うちらだけ学校あるとかヒドくない?」

千佳ちゃんは、つまりながらも会話をしようと試みる。





「学校、来たくないよね。巻き込まれそうじゃん。」



楓ちゃん・・・。

「こんないやな場所じゃなかったけどなー。来ないほうが良かったのかも」

「楓!」

「・・・何?独り言だよ。気にしないでいいじゃん。」


やっぱり、こう思っている人がいるんだ。


『美織』

耳から聞こえたのは、あくまで空耳。
だって、重田の声だったから。
引きずってるとかの問題じゃなくて私は好きだったから。
だから、生きているのがつらくて・・・。

こうして、今生きているんだ。

それなら、いっそ・・・自殺。

「美織、ごめん。」



気が付けば、楓と千佳ちゃんで会話をしていた。

「え?」

何が?
と聞こうとしたがあきらかに聞いていないのがバレる。

「美織とかかわりたくない。ごめんね」
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