アイ
愛ちゃんのチームと、蒼井ちゃんのチームは結果・・・
「はぁ!?負けたの!?うちがっ!?」
・・・蒼井ちゃんの負けだった。
「当然じゃない」
・・・そうだよ。
だって、試合を見たらわかる。
桜ちゃんとかボールをとれる人が真ん中、私みたいなボールをとれない人はネットの近くで全然ボールが来ないところ。
もし、私のとこにきても愛ちゃんが返す。
・・・チームじゃない。
愛ちゃんが、勝った。
本当にそれだけ。
桜ちゃんも、全然楽しそうじゃない。
柚ちゃんも・・・みんな。
「やったね。うちらがコノクラスで一番強いみたい!」
『うちら』じゃない・・・。
愛ちゃんが強いんだよ?・・・ねぇ。
体育の時間が終わり、更衣室に女子は向かう。
男子は、教室へ。
「バレー、楽しいね」
愛ちゃんは、楽しいだろうね。
だけど・・・強いかもしれないけど他のチームの方が楽しそうだったよ。
強さにこだわらず・・・。
「う、うん・・・でも、私・・・できないな」
「・・・バレー?」
「うん・・・恥ずかしい・・・えへへ」
・・・恥ずかしい、あの場で楽しむことが。
「・・・そう?なら、チームを移動する?」
「え・・・」
「だって、うち強いのが好きだしさ?なんか、ちょっとそういうの嫌い。自信、持ってよくない?下手くそでも楽しめれば良くない?」
・・・何をいってるの?
自覚がないの?
・・・自分が楽しませてないって。
「ごめんっ!・・・私は、自信なんか持てないくらい下手。だから、移動するよっ!蒼井ちゃんのトコの方がよっぽど楽しそうだよっ!」
「え・・・、あ・・・美織・・・」
「いいって!移動するしっ!ほっといて!」
「み、美織・・・ごめ・・・」
「別にっ!楽しませることができないのはそっちじゃん!人のボールを奪ってまでさ!そこまでして体育のバレーで勝ちたいわけ?」
「・・・美織」
「ごめん、聞く気ない」
・・・喧嘩してしまった。
桜が満開にさいたこの季節に・・・。