アイ

愛ちゃんのチームと、蒼井ちゃんのチームは結果・・・

「はぁ!?負けたの!?うちがっ!?」

・・・蒼井ちゃんの負けだった。

「当然じゃない」

・・・そうだよ。
だって、試合を見たらわかる。

桜ちゃんとかボールをとれる人が真ん中、私みたいなボールをとれない人はネットの近くで全然ボールが来ないところ。

もし、私のとこにきても愛ちゃんが返す。

・・・チームじゃない。
愛ちゃんが、勝った。

本当にそれだけ。

桜ちゃんも、全然楽しそうじゃない。
柚ちゃんも・・・みんな。

「やったね。うちらがコノクラスで一番強いみたい!」

『うちら』じゃない・・・。

愛ちゃんが強いんだよ?・・・ねぇ。

体育の時間が終わり、更衣室に女子は向かう。
男子は、教室へ。

「バレー、楽しいね」

愛ちゃんは、楽しいだろうね。
だけど・・・強いかもしれないけど他のチームの方が楽しそうだったよ。

強さにこだわらず・・・。

「う、うん・・・でも、私・・・できないな」

「・・・バレー?」

「うん・・・恥ずかしい・・・えへへ」

・・・恥ずかしい、あの場で楽しむことが。

「・・・そう?なら、チームを移動する?」

「え・・・」

「だって、うち強いのが好きだしさ?なんか、ちょっとそういうの嫌い。自信、持ってよくない?下手くそでも楽しめれば良くない?」

・・・何をいってるの?
自覚がないの?
・・・自分が楽しませてないって。

「ごめんっ!・・・私は、自信なんか持てないくらい下手。だから、移動するよっ!蒼井ちゃんのトコの方がよっぽど楽しそうだよっ!」

「え・・・、あ・・・美織・・・」

「いいって!移動するしっ!ほっといて!」

「み、美織・・・ごめ・・・」

「別にっ!楽しませることができないのはそっちじゃん!人のボールを奪ってまでさ!そこまでして体育のバレーで勝ちたいわけ?」

「・・・美織」

「ごめん、聞く気ない」

・・・喧嘩してしまった。

桜が満開にさいたこの季節に・・・。
< 9 / 62 >

この作品をシェア

pagetop