三日月姫
「はぁーい、ムーちゃんご飯だよー!」
ムーちゃん……ムーさんだし!
「どっかの誰かさんと違って綺麗に食べてるわねー」
「…」
すみませんね。
「そういえばさー」
「なに?」
「さっき、変な声聞こえたんだよね。」
「変な声?どんな?」
「んーなんか、わたしの名前呼んでた…かも」
さっきあったことを話すと、お母さん箸を落とし、慌てたように言った。
「そんな…!?…どうして…?」
「何が?」
「い、いえ、何もないの…何も…」
お母さんの様子はおかしかった。
でも、触れて欲しくなさそうだから…
「そう?私の聞き間違いだったのかも。すぐ聞こえなくなったし。」
「そ、そうね……そうよ…」
「…私、道場行ってくるね。」
「わかったわ…ありがとう…」
私はお母さんの異常な反応に疑問を持ったが、昔からの空気をよむ癖でその場から立ち去った。
きっと、なにかあるんだ。
私には秘密にしていた
なにかが。