三日月姫
二人きりになったのに…気まずさなんて感じない…
レイアの隣は安心できるなぁ。
「何からするの?」
「精神統一。やり方はわかるか?」
昨日とは違って刺のない優しい言葉をかけてくれる。
「分かるよ。見てて。」
そういってレイアに離れてもらい、床にあぐらを開いて座った。
目を閉じる。
風と一体化するんだ。
「スッー」
私が息を吸った瞬間、周りの空気が私を中心に回り始めたようだ。
「ハーッ」
息を吐くとそれがまた散っていく…
それを何度も繰り返す。
数回繰り返したあと最後の作業に入る。
「ハァッ!」
空気と風が結合するー…
そして鋭くなった風は全てを斬る…!
シュッという音がした。
ハッとして、目を開けると…レイアの頬が切れて血が垂れていた。
「レイアっ!?」
急いで駆け寄る。持たせてもらったハンカチで、レイアの頬を押さえる。
「これくらいなんともない。…しかし、驚いたな。」
「これ…私が…?」
「あぁ。お前の力だ。」
レイアを傷つけてしまった…
「レイ、ア…ごめ…っごめ…なさい…!」
どうしてこんなに悲しいのだろう。
こんなに苦しいのだろう…
レイアはそんな私を見て頭を優しくなでた。
「なんともないと言っておるだろう。落ち着け。」