三日月姫


「とうさぁぁん!!」



「お、三月来たか。今日は早かったな!」



私は小さい頃から柔道や護身術を習っている。


元柔道選手の父さんが小さい頃に教えてくれたのが、今まで続いているのだ。



お母さんの事は…言わないほうがいいよね…



「よーし、明日は入学式だし、今日は軽くにしようか。」


父さんの軽くは軽くないけどね…


「うん!」




「スーゥーハーァ―」


「そのまま心を落ち着かせて…」


「ハーァ―…」


「自分の力をひとつにまとめるように…」





「そして大きく放つ!」



「ハァァァ!」



私が大きく息を吐くと同時に、周りの風が
鎌鼬のように、鋭く通った。



「よし。いいだろう」


「ありがとうございました。」


「三月、今日は少し呼吸がずれていた。」




…ちゃんと集中できなかったんだ。



お母さんのことが気になって。



「…何かあったのか?」


やっぱり、話そう。


さっきのこと。



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