三日月姫
「今日、声が聞こえたの。」
「声?」
「うん、多分、私の名前を呼んでた。」
「っ!?……だから、か……」
「それをお母さんに話したの。」
「分かった。ごめんな、美月、気を使わせた。」
「気にしないで。……何か、あるんでしょう?」
これはもう確信していた。
だって、お母さんの様子も変だったし、
今だって、父さんの右手は力強く握られて、顔は今まで見たことがないくらい悲しそうな顔をしているもの。
「後で、話すよ。これは美月に決めてもらうことだから…」
「…分かった。」
「父さんは少し母さんの様子を見てくるよ。三時になったら戻って来なさい。」
「…はい。」
今は午前10時、どこで時間を潰そう…