妖の王子さま
「妖の世を統べるのはこの俺だ!わかったら、狐野郎はお家に帰ってねんねしてな!」
「少しは黙れないの?うるさいんだけど」
双方は激しい攻防を続ける。
撃っては撃たれ、剣の交わり合う音が響く。
「だったら、命の音も決して永久の眠りにつくんだな!」
間合いを取り、羽団扇を一振りすると一つにまとまっていた羽が元に戻る。
その羽団扇を白玖に向け一振りすると、稲妻の光が白玖に向け無数に飛んでいく。
「白玖ッ!!!」
その様子を見ていた蒼子が思わず声を上げる。
稲妻は白玖の身体を傷付けていく。
しかし、白玖はよけるどころかそのまま足を踏み込みその稲妻に向かって飛び込んでいったのだ。
白玖の身体から飛ぶ血飛沫。
白玖は、気にも留めずその先にいる天狗に向かっていた。
「バカめ!切り刻んでやる!」
いずなはそういうと、もう一振り白玖に向かって放った。