妖の王子さま
「白玖ー!!!」
蒼子は渾身の力で叫んだ。
その声に、反応したのは、白玖ではなくいずなだった。
「な?・・・女?」
一瞬、気を取られたいずなに、白玖は剣を振り抜く。
下から一気に振り上げた剣がいずなの身体を切り裂く。
「ぐ、あああああ!!!!」
いずなは雄叫びをあげ地面に叩きつけられた。
白玖は地面に着地すると、フラフラとその場に足をついた。
「いずなさまっ!!おのれ、狐め!覚えておれ!」
天狗たちがいずなを連れ立ち去るのを見届け、蒼子は白玖に駆け寄った。
「白玖!」
「蒼子さん!」
多々良は慌ててその後を追う。