妖の王子さま



「あ、あの人は・・・」

「蒼の国の、鬼の朱鬼です」

「鬼・・・」




白玖もいずなも和装に対し、朱鬼は洋装で袖の長い赤い上着に、紺のズボンをブーツにインしたような服装だ。




「は・・・派手・・・」




思わず蒼子が呟いた。





「さあ、死にたくなければ刀を抜け。狐よ」




持っていた金棒のような武器。
細長く鋭いとげのたくさんついたその武器を、朱鬼は両手にそれぞれ持っていた。





「刀を抜けって、戦うつもり!?白玖は手負いなのよ!」

「当然。いかなる時でも、争いは起こるもの。その時の相手の状態などかまっておる我ではないわ!」

「傷ついた白玖相手に勝って、それで妖の世の一番だと名乗るの!?そんなの、卑怯よ!」

「うるさい、口出しをするな」




反論する蒼子を、白玖が止める。
白玖は立ち上がると剣を構えた。





「白玖・・・」



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