妖の王子さま
「卑怯か。なんとでもいえ、女狐。・・・・だが、美しくないものは好かん。弱ったお前に勝つのは確かに美しくないな」
「・・・」
「仕方ない。この勝負、預けよう。さっさとその弱々しい身体を多少はましにして来るのだな!」
金棒の先を真っ直ぐに白玖に突き付けそう叫んだ。
蔑むようなその瞳。
「興が冷めた。帰るぞ」
朱鬼は控えていた鬼にそう告げると踵を返して去っていった。
それを見届けた瞬間、白玖は力なくその場に倒れた。
「白玖!」
「白玖さま!」
「バカ!やっぱり、ムリしてたんじゃない!」
よけることもせず、受けることもせず立ち向かったりなんかするから。
もしかして、今までの傷もあんな風に無茶な戦い方をした結果だったのだろうか、と蒼子は思う。
どうしてあんな戦い方を・・・・。