妖の王子さま



「白玖?どうしたの・・・?」

「・・・わからない」

「わからないの?」




わからないことばかりだ。
この人間に会ってから。


自分のこの騒がしい胸も。
自分がしている行動の意味も。



落ち着かないのは、自分だ。





「初めて、白玖が戦ってるところを見た」

「・・・ああ」

「怖かった」




ポツリと呟くように言った蒼子の言葉に、酷く胸が痛んだ。




「白玖が、死んじゃうかと思って・・・」

「・・・俺が?」

「だって、白玖、攻撃をよけないで向かって行くから」

「傷つくことを恐れていたら、勝てない」




それが当然だと。
間違ってなどいないと。
信じてきた。




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