妖の王子さま



蒼子が復活したのはその次の日。
白玖が蒼子の側で眠り、目を覚ました時には蒼子の姿がなかった。


慌てて廊下に出ると庭に蒼子の姿を見つける。




「あ、白玖!おはよう!」




爽やかな笑顔を向けられ白玖はきょとんと目を開いた。





「・・・おはよう」




そして、小さく呟く。




「なにしてるの」

「ずっと寝込んでいたから。少し外の空気を吸おうと思って。庭、とても綺麗ね」

「・・・そう?考えたこともなかった」

「え?でも、白玖もよく庭を見ているでしょう?綺麗だからじゃないの?」




そう尋ねられ、白玖は思いを巡らせる。
見ていたのはただ、暇だったからで。
それに、綺麗だとかそういう感情を抱いたことなどなかったと思いだした。





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