妖の王子さま
「蒼子ー!」
そんな中、明るく弾む声が近づいてくる。
志多良が廊下を駆け抜けてくるのだ。
「志多良」
「元気になったのか!?」
「うん。すっかり」
志多良は蒼子に抱きつき嬉しそうに笑う。
蒼子もまた、そんな志多良を抱きしめながら笑った。
「・・・」
そんな二人を、白玖は黙って見つめていた。
「今から夕飯を持ってくるからね!」
「ありがとう、志多良」
「うん!待ってて!」
そう言って志多良はまたかけて行ってしまう。
まるで嵐のようだと蒼子は思った。