妖の王子さま
「そ、そのうち、白玖にだってわかる日がくるよ!」
結局、そう言って逃げるしかなかった。
白玖はもちろん不服そうで。
志多良が膳を持ってきても、ふて腐れた様子で、仇ともいうように志多良を睨みつけていた。
志多良は、そんな白玖の表情を初めて見て、驚きそして怯えた。
自分が何かしてしまったのかと、思いを巡らせながら心を冷やしていた。
少しずつ。
変わり始めていた。
白玖の心も。
そして、蒼子の心も。
その変化に、一番戸惑っていたのは。
きっと、白玖自身だった。