妖の王子さま
「きゃあああ!!」
あまりの驚きに声を上げる蒼子。
正体がばれ、女は舌打ちをした。
「よ、妖怪だったの!?」
「牛鬼。人に化けて人を襲う妖怪だけど、水に移る姿は本来の姿」
「牛鬼・・・。もしかして、あの噂って、あなたの仕業だったの!?」
ここ最近聞かれ始めたという神隠しの噂。
妖怪の仕業だったのか。
「くそっ、ばれてしまっては仕方がない!」
そう言った牛鬼は姿を元の姿へ戻す。
その大きな図体に、蒼子は驚き口をあんぐりとあけた。
「こうなったら無理やり連れて行ってやる!!!」
牛鬼は大きな牛の前足を突きつけ、蒼子に迫る。
蒼子は驚きで逃げることができない。
その間に白玖が割り込み、剣で足を受け止めた。
「白玖!」
しばらく押し合いが続いた後、はじけるようにそれぞれ後ろに下がった。