妖の王子さま
「おのれ!・・・貴様は、狐の大将か!丁度いい、お前も一緒に引きずり込んでやる!」
牛鬼はそういうと、再び白玖に向かって行く。
幾度の攻防の末、白玖は一太刀牛鬼に浴びせた。
「ぐぅあああっ!」
苦しげに呻く牛鬼。
蒼子は、驚き呆然としていたが、ハッと意識を取り戻す。
「白玖!殺すのはダメ!」
「・・・なんで」
「な、なんでって・・・」
思わず叫んだ蒼子だが、不思議そうにそう言われ返答に困った。
そういう世界に生きているんだと気付く。
「他にも、他にも、行方不明になった人間がいるらしいの!その人たちを助けなきゃ!」
噂になるくらいだ。
きっと行方不明になった人がいるはず。
蒼子はそう訴えた。