妖の王子さま
「従者としてはオイラの方が上なんだからな!オイラの言うことを聞けよ!」
「は、なんで俺が。俺は、蒼子さまのいう事しか聞かねぇよ」
「なんだとぉ!!」
志多良たちと仲良くなれるのは、まだ時間がかかりそうだ。
もともとは敵にいたもの同士。
仕方ないかと蒼子は少し諦めていた。
「蒼子~」
泣きついてくる志多良をよしよしと宥める。
その様子を見て、機嫌悪そうに眉間にしわを寄せる牛鬼。
なんともハチャメチャな光景であった。
「もう、牛鬼も志多良も仲良くしてよ。これからここで一緒に過ごすんだからね」
「だって、蒼子!あいつ、オイラの事邪険に!」
「狐なんかと仲良くやるなんて!」
「牛鬼、そんなに邪険にしてたらいつまでたっても歩み寄ることできないでしょう?私は、牛鬼とここのみんなとが仲良くなってほしいの。それが私の望み」
「・・・蒼子さまの、望みなら・・・。努力はする」
渋々ふて腐れながらそう言う。
蒼子は微笑んで頷いた。
根はいい子なのだ。
わだかまりがあるからすれ違っていがみ合ってしまうだけなのだと。