妖の王子さま



「・・・はぁっ・・・はっ・・・」





ガクガクと、蒼子の身体が震える。
短い呼吸を繰り返し、瞳からはポロポロと涙が溢れる。



「蒼子さん!?蒼子さん!どうしたんです!?」

「はっ・・・はっ・・・・ああっ・・・」





身体を震え上がらせ、混濁とした蒼子を白玖から引きはがす。
目の焦点が合わず、なにかに怯えるように震えていた。




「蒼子さん!しっかりしてください!蒼子さん!」

「・・・はっ・・・ぁっ・・・」




息がうまく吸えず、過呼吸を起こしていた。
その時、すっと腕が伸びてきて多々良の腕から蒼子が浚われていく。




「は、白玖さま・・・」




意識を取り戻した白玖が、蒼子の身体を抱き上げていた。
そして、蒼子の唇に自分のそれを押し付けた。




「ん―――――――」





唇を塞がれ、苦しげに体を身じろがせる蒼子の腕を白玖は手で抑えつける。





< 138 / 381 >

この作品をシェア

pagetop