妖の王子さま
「・・・はぁっ・・・はっ・・・」
ガクガクと、蒼子の身体が震える。
短い呼吸を繰り返し、瞳からはポロポロと涙が溢れる。
「蒼子さん!?蒼子さん!どうしたんです!?」
「はっ・・・はっ・・・・ああっ・・・」
身体を震え上がらせ、混濁とした蒼子を白玖から引きはがす。
目の焦点が合わず、なにかに怯えるように震えていた。
「蒼子さん!しっかりしてください!蒼子さん!」
「・・・はっ・・・ぁっ・・・」
息がうまく吸えず、過呼吸を起こしていた。
その時、すっと腕が伸びてきて多々良の腕から蒼子が浚われていく。
「は、白玖さま・・・」
意識を取り戻した白玖が、蒼子の身体を抱き上げていた。
そして、蒼子の唇に自分のそれを押し付けた。
「ん―――――――」
唇を塞がれ、苦しげに体を身じろがせる蒼子の腕を白玖は手で抑えつける。