妖の王子さま



「牛鬼!お前、白玖さまを愚弄する物言い、いい加減許さんぞ!」




志多良が怒りに声を張り上げる。
蒼子は身じろぐが、強く抱きしめられ逃れることができない。




「牛鬼・・・、私、大丈夫だから。本当に、大丈夫なのよ」

「言いたいことは、それだけ?」




白玖が静かな声で問う。
牛鬼は、蒼子を抱きしめたまま白玖を睨みつけた。


白玖の腕が牛鬼に伸び、その腕を掴むとくいっと腕を引く。
牛鬼は勢い良く吹き飛ばされ襖をぶち破っていく。




「牛鬼!」




慌てて伸ばした蒼子の手を白玖はつかみ引き寄せる。





「きゃっ、は、白玖?」





抱き寄せられた身体。
白玖は蒼子の肩に顔をうずめる。





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